相澤正己会長 年頭所感

年 頭 所 感

新年あけましておめでとうございます。
昨年を顧みますと、円高の是正、株高などを背景に景気回復への期待が先行した一年であったように思えます。しかし、まだまだ東日本大震災の甚大な災害からの復興は道半ばであり、一日も早く復旧・復興を成し遂げることを願っております。当協会としても、安心・安全で豊かな日本を取り戻すために微力ではありますが事業活動を通じて貢献して参りたいと思っているところであります。
政府が打ち出した成長戦略が軌道に乗り日本経済が活気を取り戻すには暫く様子を見なければ分かりませんが、変動する経済状況に対応して仕組みを変えなければいけないし、また変わらなければ日本経済の再興は期待できないでしょう。依然として新興国とのコスト競争はもとより、生産拠点の海外移転、内需の減少などが続いており、世界経済のグローバル化の中で我が国ねじ産業の進路を見定める難しさを感じております。 
我が国ねじ産業の成長を牽引している自動車、機械、電機、建築といった需要家産業の動向が気になるところであり、産業の空洞化、内需の減少、現地調達率の拡大による輸出の減少が心配されますが、付加価値製品の安定供給・品質の向上、生産技術の革新・新製品開発の技術力を高め国際競争力を強化していくことこそが、需要家に信頼されるねじ製品の提供につながるものと確信しております。強靭な国際競争力を確保するための基盤技術となるのは研究活動であり、他社の追随を許さない差別化製品・付加価値製品を生み出す技術の推進であると思います。政府が掲げる日本産業の復興戦略の中で成長産業といわれている医療、航空、環境などの分野へ提供する新製品の開発や生産技術の革新の源は継続した研究であり、戦略的な標準化の推進です。先行きの心配を打破する力、イノベーションを発揮する力を醸成する研究を継続し、徹底して無駄を省く標準化の推進が極めて重要となります。
さて、当協会が昨年取り組みました事業は、最近の知見を取り入れたねじの締結設計に関する研究活動、ボルト・ナット・タッピンねじ・止めねじの機械的性質などに関する日本工業規格(JIS)の原案作成、ISO/TC1(ねじ)・ISO/TC2(締結用部品)・ISO/TC20/SC4(航空宇宙用締結システム)の国際規格(ISO)の策定などの標準化活動、ねじ製造・ねじ締結に関する技術動向を紹介・提供する会報誌の会員向け電子書籍配信などの出版活動などであります。いずれもねじ産業の競争力を高めるために有用なこれらの事業を継続し、大学・高専の先生方を初め、自動車・電機など需要家の皆様方と一体となって、困難な経済状況を打破してまいりたいと思っております。
 本年も引き続き、我が国ねじ産業の技術力向上と信頼の日本ブランドを一層高めるように、ねじ締結に関する研究活動とねじの標準化活動を推進してまいります。
今後とも会員各位のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げ、本年がねじ産業の一層の国際競争力強化につながりますように念願し、年頭のご挨拶と致します。

日本ねじ研究協会
会長 相澤 正己

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